開発のあゆみ【5】 2010年9月
『吟風』稲刈り
前年度に引き続き、すすきの美人の仕込み準備に入った。
旭川市西神楽にある、『夢民村』で育った吟風。温暖化による影響なのか、今年は北海道も猛暑が続いた。その影響はそれほど受けなく、昨年よりもタンパクが少なくかなり良い状態とのこと。
黄金色の稲穂は、収穫の時を待つように垂れていた。夢民村の垣見さんに教わりながら、さっそく稲刈りを開始した。手で刈ることはあまりないそうだが、やってみると、それは大変な作業だった。途中で断念、コンバインに乗せてもらい、稲刈りを進めた。稲穂についている米は、2束強で茶碗1杯程だという。一方、純米酒1.8リットルに対し、使用する米の量は750gほどだ。米の一粒一粒に農家の方の思いが込められているということが、この稲刈りでさえも感じ取ることが出来たのだから、農家の方たちの苦労は計り知れない。その思いをのせて、蔵へ運ばれていく吟風たち。これから美味しい酒になるべく、酒造りの時期をむかえる。皆の期待を背負い旅立つ吟風が、力強く頼もしくも見えた。
名久井 俊男